ルッキズムの権化であるアイドルは、現代人の他人を見る目を変えた。

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最終更新日 2024年4月29日

最近SNSかどこかで「アイドルなんてルッキズムの権化」という発言を目にした。

今までアイドルについてそこまで深く考えたことはなかったが、「たしかに」とどこか納得してしまった自分がいる。

というのも、上記の言葉はアイドルだけに限らず、人が他人を判断するときのクセみたいなものだと思ったのだ。

そしてそれは現代社会においてより顕著となっており、ルッキズムによって人気が浮き彫りになるアイドルたちは、現代人の他人を見る目をも変えた。

つまり、現代人は外見が魅力的な人の発言や行動といったものは、そのものの善悪を問わず、すべて善いものと判断するようになったのだ。 

 

ルッキズムとアイドル

たとえば、可愛いアイドルやかっこいいイケメン俳優、ロックバンドのミュージシャンなどは、世間的には魅力的な人物だと思われている。

アイドルの発言や行動が他人とは違っていても、「個性的」「多様性」などと都合のいい言葉を持ち出し、それらはすべて個人の魅力であると解釈される。

イケメンのすることはなんでもカッコイイ、ロックバンドのミュージシャンが語る言葉には魂がこもってるなど、こうした解釈にもルッキズムが含まれているといえる。

自分の身近にいるブサイクな男が、イケメン俳優と同じ発言や行動をしたとしても、たいていの人は気持ち悪く感じるだろう。

なぜなら元がブサイクだからだ。

一方、イケメンがブサイクの男と同じ発言や行動をしたとすれば、世間の反応は「カッコイイ」や「可愛い」に変わる。

これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

ロックバンドにしても同様だ。ロックバンドのミュージシャンの音楽はかっこいい。それは間違いない。私もロックバンドは大好きだ。

だが、彼らの音楽がかっこいいからといって、ほかの事柄までかっこよくなるわけではない。

誰もが熱狂する歌詞を歌っていたとしても、彼らとブサイクな男は同じ人間である。

でも、世間ではかっこいい音楽をやってる人たちは生き様までかっこいいと判断してしまう。

もう一度言う。これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

「アイドルなんてルッキズムの権化」たしかにそうだ。

アイドルという肩書きを背負い、ステージの上でパフォーマンスしている姿を見ていると、世間は「可愛い」「一生懸命頑張っている」という印象を受ける。

しかし、その印象はルッキズムを生む要因にもなる。

つまり、「可愛いアイドル=性格が真面目で努力家で頑張り屋さんで何事にも一生懸命」という印象を生むのだ。

さて、3度目である。これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

 

人は外見が10割

よく「人は外見か中身か」と問われることがあるが、現実では「人は外見が10割」である。

身体的な魅力が備わっていればいるほど得をする。これは紛れもない真実だ。

ブサイクな女の子がすればバッシングの嵐になることでも、可愛いアイドルがすれば世間は「可愛い」と反応する。

4度目だ。これを……やっぱりやめておこう。

「自分は人を見た目で判断なんてしない。ちゃんと内面を見てから判断する」という声が聞こえてくる。

うむ。それは素晴らしい。誰もがあなたのように振る舞うべきだ。

でも本当にそう言い切れるのか?と自問自答することを忘れちゃいけない。

あなたは自分は人を見た目で判断しないと述べているが、本当にそうなのだろうか?

仮に世間の9割がブサイクだと認める人がいたとして、その人とあなたの大好きな芸能人がまったく同じ行動をしたとしても、まったく同じ感情でまったく同じ言葉で2人を評価することができるだろうか?

少なくとも私は無理だ。可愛いアイドルが普通の行動をすれば一般人よりも3割増に見えてしまう。

 

外見が良いアイドルはそれだけで人気が出る

現代では「人を見た目で判断してはいけない」という主張が多すぎるため、人を見た目で判断しないように自分に言い聞かせている人が多いように感じる。

つまり、本当は見た目で判断しているのにも関わらず、見た目で判断してはいけないという風潮に負け、無理やり内面で外見のマイナスを補っているように思えるのだ。

行き過ぎたルッキズムはたしかに良くない。

カッコイイから、可愛いから、頑張ってるから、真面目だから、いいこと言っているから、努力しているから、といった目に見える特徴を踏まえ、他人を判断するのは間違っている。

人間は元々嘘をつく生き物であることを忘れちゃいけない。

身体的な魅力だろうとなんだろうと、使える武器をすべて使って自己利益を狙うのは当然の行動である。私たちは遺伝子には逆らえない。

純粋に他人の外見を楽しめるのであればそれが理想だが、外見的な魅力は内面を良く見せてしまうものだ。

これは心理学的に「ハロー効果」とも言われている。

人が本当に内面で他人を判断できるのなら、アイドルや芸能人たちの評価はもっと変わるのではないだろうか。

悲しいかな。現代は才能があるブサイクよりも、才能のないアイドルを応援する世の中なのである。

ルッキズムが蔓延った世の中では、外見が良いアイドルはそれだけで人気が出るのだ。

 

ルッキズムは外見的価値を過大評価する

勘違いしてほしくないのが、私はアイドルを全否定しているわけでも、芸能界や音楽業界を揶揄しているわけでもない。

人並みに好きな芸能人もいるし、アイドルやロックバンドミュージシャンも好きだ。

ただ、身体的な魅力で他人を過剰に崇めるのは良くない、と述べているだけである。

AKBや乃木坂といったアイドルブームが起こした本当の社会的な影響は、現代人の他人の見る目を「外見」に変えたことにある。

お腹を出した服装や、過剰な露出を可愛いと思う10代~20代の若者のファッションも、ルッキズムによって「可愛い」の定義が変化したことによるものだ。

現代人がどんどんルッキズムにのめり込んでいくほど、世の中では外見的価値が過大評価され、内面的な価値は隅に追いやられていくだろう。

何度も言うが、アイドルやK-POPなどのブームが悪いと言っているわけではない。

ただ、彼女たちに対するルッキズムが、現代人の他人を見る目を変えたというだけである。

人を見るときはできる限り外見的な特徴に振り回されず、子どものように真っ白な心で判断したいものだ。

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